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X線自由電子レーザーの威力裏付ける新成果

2008.04.22

X線自由電子レーザー試験機収納部
X線自由電子レーザー試験機収納部
(提供:理化学研究所)

 X線自由電子レーザーの試験機から高強度の極紫外光を発生させ、窒素原子の光イオン化という現象を初めて観測することに東京大学などの研究グループが成功した。原子・分子科学の新しい研究領域を切り開いたことに加え、理化学研究所が国家基幹技術として開発中のX線自由電子レーザープロジェクトのコンセプトが正しいことを裏付ける成果として注目される。

 研究成果を公表したのは、東京大学、高エネルギー加速器研究機構、慶應義塾大学、日本原子力研究開発機構、理化学研究所、日本電信電話会社の合同チームと理化学研究所X線自由電子レーザー計画推進本部からなる研究グループ。X線自由電子レーザーは、化学反応など超高速で変化するナノの世界の現象がリアルタイムで観測できるなど、さまざまな分野で威力を発揮する画期的な研究装置として、日、米、欧州で激しい開発競争が展開されている。試験機は、開発中の本装置の設計が正しいことを証明するため、実証用プロトタイプ機として2006年に完成、その後、性能向上が図られた。

 今回の成果は、非摂動領域と呼ばれる非常に強度の強い光を、はじめて極端紫外光という短い波長域で発生させたのがポイント。試験機も非常に役に立つ装置であることが明らかになったことで、今後、この装置を使った研究が活発になるとみられる。

 2010年度の完成を目指し理化学研究所播磨研究所内に建設が進められているX線自由電子レーザー装置は、アンジュレーターと呼ばれる磁石列(電子の通り道)を丸ごと真空容器内に納める独特の設計により、費用、大きさとも欧米で開発中の装置の半分以下で、高強度・高品質なレーザービームを安定的に発振することができる、と期待されている。今回の研究成果について石川哲也・理化学研究所X線自由電子レーザー計画合同推進本部プロジェクトリーダーは、「欧米とは異なる日本のX線自由電子レーザープロジェクトのコンセプトの正しさが実証された。今後も、試験機を利用して実機の高性能化を図っていきたい」と話している。

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