X線の一つの光子が2つの“姉妹”に分かれるというまれにしか起きない現象を初めて測定することに、理化学研究所・放射光科学総合研究センターの玉作賢治先任研究員、石川哲也主任研究員が成功した。
この現象は、光子が物質中の電子と相互作用することによって現れるパラメトリック下方変換と呼ばれる現象だが、X線領域では、約1,000億分の1程度の確立でしか起きないため、これまでは測定ができなかった。
玉作賢治先任研究員らは、大型放射光施設SPring-8のビームラインに、高感度な計測装置を組み合わせることで測定に成功し、“姉妹”光子が誕生する時、これまで知られていなかった干渉効果が現れることも発見した。
この研究成果の意義について研究者たちは、「“姉妹”光子の発生を測定することで、結晶中で原子同士を結びつけている電子の“手”の強さ、つまり原子間の結合状態を直接調べることが可能になる」と言っており、現在、装置の建設が進むX線自由電子レーザーによって新しい科学、技術分野を切り開く際の有力な研究手段になると期待されている。