文部科学省は22日、人工多能性幹細胞(iPS細胞)研究などを加速させるための総合戦略を策定した。
京都大学が今年選ばれた世界トップレベル研究拠点「物質-細胞統合システム拠点」の中に、iPS細胞を推進する日本の中核研究組織として「iPS細胞研究センター」を整備するほか、ライフサイエンス委員会の下に幹細胞・再生医学戦略委員会を設置する。また、関係機関が協力して研究を推進できるよう、このiPS細胞研究センターを中心としたネットワーク組織「iPSS細胞研究コンソーシアム」を組織する。コンソーシアム内における研究に用いられるiPS細胞の提供については原則無償とし、円滑に使用できるような体制を整備する。
また、再生医療の実現化プロジェクトの一環として、iPS細胞を用いた治療開発や細胞操作技術開発(分化誘導等)を加速するため、12月中に課題の公募を開始する。基礎研究では、科学技術振興機構・戦略的創造研究推進事業の戦略目標として「iPS細胞研究の推進」に資するものを新たに設定し、研究課題を公募するほか、来年度以降、科学研究費補助金での支援も強化する。
関連する特許を確保するため、京都大学から国内外に出願(予定含む)しているiPS細胞利用技術に関しては、これをさらに「強い特許」にするため、権利範囲を確保できるよう継続的に追加出願に向けた検討を行い、早急に国内外の審査請求などを行う。科学技術振興機構から京都大学に、特許確保のアドバイザーとして、専任の知財専門家を派遣する。