結晶を構成する元素それぞれの原子配列を電子顕微鏡で分別観察することに、物質・材料研究機構の木本浩司・主席研究員らが成功した。
木本首席研究員らは、走査透過電子顕微鏡と電子エネルギー損失分光法を用いて、ランタン、ストロンチウム、マンガン、酸素からなるセラミックスを観察、酸素原子や、マンガン、ランタンなどの金属原子それぞれがどのように配列されているか直接見ることができるマッピング像を得ることに成功した。
これまで透過電子顕微鏡により結晶構造を直接観察することは可能だったが、特定の元素だけを識別して可視化することは、困難だった。研究チームは、原子間の距離以下に収束した電子を試料に照射し、さらに電子の入射位置が一つの原子の上からずれない工夫をすることなどにより、結晶を構成する元素ごとの原子配列を可視化することに成功した。
物質研究や材料開発はナノレベルの構造制御が要求される。今回の研究成果を活用することにより、新しい材料開発に求められる性能などに直接結びつくような知見が得られることが期待されている。