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BMI技術応用に期待の電極開発

2010.04.07

 脳科学分野で注目されているブレイン・マシン・インターフェース(BMI)技術のネックとなっている電極の長期安定化に理化学研究所の研究チームが成功した。BMI開発を加速する重要な成果だ、と理化学研究所は言っている。

 BMIは脳神経の活動を脳に挿入した電極、あるいは脳波、脳血流の計測デバイスで読み取って、考えただけでさまざまな機器類の操作を可能にするコミュニケーション技術をいう。これまで脳の情報を得るためには剣山状の高密度電極を脳内部に差し込む手法が一般的だった。しかし、この電極は脳に与えるダメージが大きい上、異物を排除しようという免疫反応を引き起こす結果、長期間安定的に使用できないという大きな問題を抱えていた。

 理化学研究所脳科学総合研究センターの藤井直敬・適応知性研究チームリーダーとジーナス・チャオ研究員らは、大脳皮質表面に埋め込むECoG電極と呼ばれるシート状の電極を改良し、2匹のニホンザルの硬膜下に埋め込み、半年から1年の間、神経情報の読み取り性能と長期間の安定性を調べた。

 この結果、従来の剣山状電極を用いた場合、1日もたたないうちに脳神経の読み取り性能が落ちてしまうのに対し、新しく開発された電極を使用すると数カ月後でも高い読み取り性能を維持することが分かった。脳へのダメージも剣山状電極を使った場合に比べて小さいことも確かめられた。

 BMI技術は事故や病気で失われた運動機能や認知感覚機能を復活、代替する可能性があると期待されている。こうしたヒトへの臨床応用の道を拓く成果だ、と理化学研究所は言っている。

 この成果は、文部科学省脳科学研究戦略推進プログラム「ブレイン・マシン・インターフェースの開発」で得られた。

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