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研究活動に第三者評価の必要提言

2008.02.28

 日本の研究活動を活性化するには、現状の評価体制は問題が多く、特に第三者評価の仕組みを定着させることが必要、とする提言を日本学術会議がまとめ、公表した。

 同会議・研究評価の在り方検討委員会の対外報告「我が国における研究評価の現状とその在り方について」によると、現在、重要な研究課題や施策に対して行われている評価は、外部評価の形はとっているものの、実態は推進する府省が決めた評価者、評価方法・基準によって行われていることが多い。この結果、公正性や透明性に国民から疑念を持たれる可能性がある。

 報告は、研究課題や施策を推進する府省主導になっている現在の「外部評価」よりすぐれた評価の仕組みとして「第三者評価」の重要性を指摘している。第三者評価については「評価対象者以外の第三者が、独自の評価基準により、独自に評価者を選び行う評価」と性格付けている。

 第三者評価の対象としては、多額な公的資金を用いる研究課題、施策、制度、政策が挙げられている。現在、これに近い役割を担っている機関としては、首相が議長を務める総合科学技術会議がある。報告は「国の科学技術政策を総合的かつ計画的に推進する観点から行われており、科学技術政策との整合性の確保や予算配分への直接的適用などの点においては有効。しかし、評価対象が政策や省庁横断的な施策などの上位レベルのものになれば、政策・施策の推進者側が実施する自己評価・外部評価の一つとしてみなされやすくなる」とその限界を指摘、「推進側の行政府からは独立した立場から、国の科学技術政策や研究施策・重要課題について、第三者評価が実施される」ことを求めている。

 日本の研究評価は、その分野を専門とする研究者によるピアレビューが広く行われているが、評価する側、される側双方の研究者にとってピアレビュー作業は相当な負担になっている現実がある。報告は「第三者評価者は、多様な研究分野に関する高度な専門知識を有する者と、評価システムや評価手法に専門知識を有するものから構成されることが望ましい」と提言している。

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