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原子炉冷温停止・廃炉・除染作業にロボット技術の活用提言

掲載日:2011年4月14日

日本学術会議の東日本大震災対策委員会は13日、福島第一原子力発電所の事故対策にロボット技術を活用すべきだ、との提言を公表した。高濃度放射能汚染水の処理、原子炉圧力容器、燃料プールの冷却など当面の応急対策だけでなく廃炉、周辺地域の除染という息長い対策までにらみ、ロボット技術活用の重要性を訴えている。

緊急に必要な対策として、現場作業を担当する電力会社、消防、自衛隊、関係省庁とロボット学専門家、原発・放射線専門家などで構成する合同対策チームを提言した。チームには必要な権限と予算を付け、後方で支援する国内外のロボット関連の大学、研究機関、企業などからなる技術支援チームと連携して、現場の状況に即応した継続的なロボット技術の活用を促すべきだ、としている。

原子炉冷温停止という当面の課題に対し、ロボット技術が活用できる作業としては、現場各所の放射線量監視、画像撮影、試料採取、機器操作などを挙げている。また、その後に予定されている長期間を要する廃炉作業の一部完全自動化を図り、新規ロボットや新運用システム開発を計画的に推進することを求めた。周辺地域の除染作業に必要な自動移動ロボットによる連続巡回モニタリングと、自立作業ロボットによる除染作業の一部完全自動化の実現を目指すことも提言している。

福島第一原子力発電所事故では、電源がすべて途絶した時に安全を確保する対策が全くないことが明白になった。提言は「いかなる事態においても被害を最小限に留めるシステムの構築」が必要だとし、「安全機能強化と想定外事態への即応のため、プラントのあらゆる部分でロボット活用を前提としたシステム設計に転換する。汎用・自律ロボットの導入により、想定外事態への即応性やシステム機能崩壊時の安全機能維持を目指す」としているのが注目される。

これは、これまでの原子力発電所の安全対策を根本から見直すことを迫ったものともいえる。国に対しては、新しいシステムの運用、試験、研究開発を、現場と関連企業、原子力専門家、ロボット学専門家が密に連携し長期継続的に推進する体制をつくることを求め、日本学術会議は関連学会と分野横断的連携を促進する、としている。

福島第一原子力発電所では、長期の作業が不可避な状況となっており、作業員の被ばくを心配する声が高まっている。海外に比べ日本の研究開発は進んでいると一般には思われていたロボットが、これまで作業員の被ばく低減のため活用されたという報道はない。

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