地球温暖化をもたらす二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの世界平均濃度が昨年観測史上最高に達したと世界気象機関(WMO)が25日スイス・ジュネーブで発表した。WMOは、将来の世代が温暖化の深刻な影響を受けると警告している。
WMOによると、代表的な温室効果ガスであるCO2の2018年の世界平均濃度は407.8ppm(1ppmは100万分の1)となり、前年に続き観測史上最高を更新。産業革命前と比べ約1.5倍に増加した。17年と比べると2.3ppm高く、1年の濃度上昇率は過去10年の平均を上回った。
CO2に次いで排出量が多いメタンの18年の濃度は1869ppb(1ppbは10億分の1)で、やはり観測史上最高を更新し、産業革命前の約2.6倍となった。一酸化二窒素の18年の濃度は331.1ppbでこれも観測史上最も高い数値で、産業革命前の約1.2倍だった。
12月2日から13日までスペインで気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)が開かれる予定で、WMOはCOP25を前に世界に向けて警告した形だ。ペッテリ・ターラス事務局長は「パリ協定に基づいて各国が排出削減目標を約束しているにもかかわらず、温室効果ガスの濃度が下がる兆しは見えない」などと指摘。将来の世代のためにも各国は排出削減目標の大幅な上積みが必要だ、と強調している。
ターラス事務局長はまた「地球が現在と同程度のCO2濃度を最後に経験したのは300万〜500万年前であることを思い出す必要がある。当時気温は現在より2〜3度高く、海面は現在より10〜20メートル高かった」などとコメントし、温暖化傾向が続いていることに警鐘を鳴らしている。
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