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世界の昨年のCO2排出量は横ばいから一転増加 IEA報告書

2018.03.29

 世界のエネルギー消費による2017年の二酸化炭素(CO2)排出量は前年と比べて1.4%増えて325億トンに達したことが、国際エネルギー機関(IEA)がこのほどまとめた報告書で明らかになった。14〜16年は横ばい状態だったが一転増加に転じた。IEAは、地球温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」の目標を達成するためには現状の取り組みは不十分である、としている。

 報告書によると、17年の世界のエネルギー需要は前年比で2.1%増加した。この需要の伸びの72%は化石燃料が占めた。特にアジア地域でCO2を多く排出する石炭火力発電所が増加した。エネルギー需要のうち電力だけをみると前年比で3.1%増え、インドと中国が増加分の70%を占めた。

 エネルギー源別では、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの伸びが目立ち、世界のエネルギー需要の伸びの4分の1を占めた。中国と米国での普及が大きく反映した。一方、石油需要は1.6%、石炭需要は約1%、それぞれ前年比で増えていた。

 また世界のエネルギー消費による17年のCO2排出量は前年より4億6,000万トン増えて325億トンになった。この数字は過去最大だった。この要因についてIEAは、世界全体でみると経済成長してエネルギー需要が増えたため、としている。

 パリ協定は、世界の温室効果ガス排出量を今世紀後半に実質ゼロにし、産業革命以来の気温上昇を2度未満、できれば1.5度に抑えるとの目標を掲げている。IEAは報告書の中で「CO2排出量の増加は気候変動対策への取り組み強化を求める警告であり、現状の取り組みではパリ協定の目標達成はできないことを物語っている」と指摘している。

グラフ1 世界のエネルギー消費によるCO2排出量の2000年から17までの変化(IEA提供)
グラフ1 世界のエネルギー消費によるCO2排出量の2000年から17までの変化(IEA提供)
グラフ2 2000年から17年までのGDP(国内総生産)(緑)、CO2排出量(青)、エネルギー需要(黄色)の変化(IEA提供)
グラフ2 2000年から17年までのGDP(国内総生産)(緑)、CO2排出量(青)、エネルギー需要(黄色)の変化(IEA提供)

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