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パリ協定の実施ルールは来年会議で採択 交渉難航のCOP23閉幕

2017.11.20

 ドイツ・ボンで6日から開かれていた「気候変動枠組み条約第23回締約国会議(COP23)」は激しい議論の末、現地時間18日早朝(日本時間同日午後)予定期間を1日延して閉幕した。今回会議は2020年からの地球温暖化対策の新枠組み「パリ協定」の実施ルールづくりを目指していた。しかし交渉は難航し、内容を詰め切れずに今後ルール作りを加速して来年12月の会議(COP24)で採択することを決めるにとどまった。このほか、世界各国の温室効果ガス排出削減目標の引き上げを目指す場(「タラノア対話」)を18年から試行することなどについて合意した。

 パリ協定は産業革命前からの気温上昇を2度未満、できれば1.5度に抑えることを目指している。しかし現在の世界各国の排出削減目標を大きく引き上げないと達成困難とされている。またこの協定は、先進国だけが温室効果ガスの削減義務を負った京都議定書と異なり、批准各国が自主的に温室効果ガスの削減目標を掲げている。このために各国で異なる排出抑制の具体策や取り組み状況を公平、公正に検証する実施ルールの内容が最重要事項となっている。

 COP23事務局が公表した文書や今回の会議に参加した環境研究機関関係者などによると、会議は先進国と発展途上国間で、また温暖化による海面上昇で深刻な影響が予想される島しょ国と石油産出国間でこれまでの会議では見られなかったほど激しいやり取りが行われて交渉は難航した。実施ルールについては内容を決めるまでに至らず、各国の考え方などをそのまま併記する長文の非公式文書としてまとめられた。その一方で進展した項目もあり、世界各国の削減目標の引き上げを目指して各国の現在の目標の妥当性を検証する場(「タラノア対話」)を来年から設けることになった。

 「タラノア」とは太平洋の島国の言葉で「人々が集まって話し合う」意味があるという。今回会議は、6月にトランプ米大統領がパリ協定離脱を表明した後の初のCOPだった。各国の利害がぶつかり合い、島しょ国と石油産出国の間などで新たな対立の構造も生じる中で最悪の決裂の事態だけは避けられた。「タラノア対話」は、協定が実質的に発効する2020年に向けて情報共有しながら実施ルール作りを何とか進めるために参加各国が会議最終場面で何とかまとまった末の産物だった。

写真1 COP23の会場の一部(提供・国連COP23事務局)
写真1 COP23の会場の一部(提供・国連COP23事務局)
写真2 激しい議論が続いたCOP23での一場面(提供・国連COP23事務局)
写真2 激しい議論が続いたCOP23での一場面(提供・国連COP23事務局)

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