2018年の二酸化炭素(CO2)排出量は17年と比べて1.7%増え、過去最高の約331億トンに達したことが、国際エネルギー機関(IEA)がこのほどまとめた報告書で明らかになった。14〜16年は横ばいで推移したが17年は増加に転じ、18年も増加してしまった。世界のエネルギー需要が増えたことなどが要因で、地球温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」の目標達成に向けた排出量削減が一向に進んでいないことを示した。世界に異常気象を起こしているとされる気候変動の加速が懸念される。
IEAが公表した報告書によると、2018年のエネルギー需要は前年比2.3%増えた。これは10年以降の平均伸び率の約2倍。エネルギー需要増分の半分以上を電力部門が占めた。こうした電力の需要増に対する供給分野をみると、太陽光や風力などの再生可能エネルギーが同4%増え、世界のエネルギー需要増のほぼ4分の1を賄った。しかし石油は同1.3%、石炭は同0.7%それぞれ伸びてしまい、CO2排出量の増加につながった。石炭からの移行が進んでいる天然ガスは同4.6%増で高い伸び率を記録した。
IEAによると、エネルギー需要が増えた背景には世界経済が18年に3.7%拡大し、アジアの新興国を中心に石炭などの化石燃料の需要が増えたことがあるという。
国ごとのCO2排出量では、中国が前年比2.5%増えて18年の排出量は95億トンもあった。また米国やインドもそれぞれ前年比3.1%、4.8%増えた。これら3国で排出量増加分の85%という大きな割合を占めた。一方、欧州全体では前年比1.3%減少した。こうした国別の排出量増減実態は、世界の排出量を削減するためには、排出量が増えた国が率先して排出量削減対策を進めることが極めて重要であることを示している。
CO2排出量が増えている中国のほか、欧州や米国も再生可能エネルギー比率を伸ばしている。IEAは再生可能エネルギーの伸び率が世界の電力需要の伸びに追いつかなかったとし、再生可能エネルギーの一層の普及やエネルギー効率向上を呼びかけている。