噴火による死傷者が出た草津白根山の本白根山について産業技術総合研究所(産総研)・地質調査総合センターと防災科学技術研究所(防災科技研)は24日、噴出物の分析結果から噴火はマグマの噴出を伴わない水蒸気噴火の可能性が高い、との見解を示した。
気象庁などによると、噴火は本白根山の鏡池付近で1月23日9時59分ごろ発生。草津国際スキー場に噴石が放出されて死傷者を出す被害が生じた。産総研・地質調査総合センターは防災科技研と共同で、採取された噴石や火山灰を洗浄し、微粒子にふるい分けした上で分析した。その結果、山体構成物が高温の地下水と反応してできた岩石が多いことなどから噴火は水蒸気噴火の可能性が高いことが分かったという。水蒸気噴火は、マグマの熱が地中を伝わって地下水が沸騰し、圧力が急激に高まり爆発する。
産総研・地質調査総合センターによると、活火山の草津白根山は白根山や本白根山などの火砕丘(かさいきゅう)や流出した溶岩、裾野に広く分布する火砕流堆積物などで構成されている。火砕丘は噴出物が火口周辺に積もって丘状になったもの。草津白根山は約3,000年前にマグマ噴火をしているが、最新の噴火は1982〜83年に発生した水蒸気噴火だった。
噴火にはマグマ噴火、水蒸気噴火のほか、高温のマグマと地下水が直接接触して爆発するマグマ水蒸気噴火がある。今回の噴火が突然発生し、事前に大量のマグマが上昇していることを示す山体膨張や火山性地震が起きるなどの前兆はまったくなかったことから、産総研・地質調査総合センターのほか多くの研究者が水蒸気噴火の可能性が高いとみている。
火山噴火予知連絡会は2014年9月27日昼前に突然噴火し、多くの登山者が犠牲になった御嶽山(長野・岐阜両県にまたがる)の噴火も水蒸気噴火だったとの見解を示している。
関連リンク
- 産総研・地質調査総合センター関連サイト
- 防災科学技術研究所「平成30(2018)年 草津白根山の噴火活動に関するクライシスレスポンスサイト」
- 気象庁「草津白根山の活動状況」