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京都議定書誕生の地で来春IPCC総会開催へ

2018.01.15

 地球温暖化を防止するための国際的枠組みづくりや世界共通の対策などに大きな影響を与える「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の総会が来年春に京都市で開かれる見通しになった。環境省が12日明らかにした。京都市は二酸化炭素(CO2)の排出削減を先進国に義務付けた京都議定書が誕生した気候変動枠組み条約第3回締約国会議(COP3)の開催地。政府はその京都市でIPCC総会を開くことで気候変動問題への積極姿勢を世界にアピールしたい考えという。

 中川環境相は昨年11月にドイツのボンで開かれたCOP23の場でIPCC総会を日本に誘致する方針を明らかにした。その前後から環境省などが国内開催地を検討していたが、京都市は1997年に京都議定書を採択したCOP3の開催実績があることや市自身が誘致を強く希望していることなどから京都市が選ばれたという。日本以外に誘致している国はなく、承認手続きを経て京都市開催が正式に決まる見込み。

 IPCCは1988年に国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)が設立した政府間機関。195カ国・地域が参加、参加各国・地域の気候、気象、環境経済などの研究者や政府・行政担当者で構成されている。気候システムと気候変化について評価する「第1作業部会」、気候変動が生態系や社会・経済に及ぼす影響や適応策を評価する「第2作業部会」、温室効果ガスの排出抑制策など気候変化に対する対策を評価する「第3作業部会」がある。3部会とも定期的に評価報告書をまとめて公表、さらにこれらを統合した評価報告書も5〜6年ごとに公表されている。

 来年のIPCC総会は5月ごろに開かれる予定で、各国の温室効果ガス排出量の算出・検証方法や、3つの作業部会の新評価報告書・新統合評価報告書(第6次評価報告書)の具体的な内容などについて議論される重要な総会となる。同総会は日本国内では2014年に横浜市で開催されている。

 最新の報告書は2014年に公表された「第5次評価報告書」。この報告書は、対策を強化しなければ、今世紀末には20世紀末と比べて平均気温が最大4.8度、海面が最大82センチ上昇すると予測。COPの各国間交渉などに大きな影響を与えてきた。IPCCは2007年には、地球環境問題に力を注いだゴア元米副大統領と共にノーベル平和賞を受賞している。

画像1 IPCCのホームページ(提供・IPCC事務局)
画像1 IPCCのホームページ(提供・IPCC事務局)
画像2 激しい議論が続いたCOP23での一場面(提供・国連COP23事務局)
画像2 激しい議論が続いたCOP23での一場面(提供・国連COP23事務局)

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