スウェーデンの王立科学アカデミーは4日、2016年のノーベル物理学賞を、「トポロジー」と呼ばれる幾何学の概念を応用して物質の特殊な状態を解明した米ワシントン大学のデービッド・サウレス氏ら米国の研究者3人に授与すると発表した。3日、医学生理学賞の受賞が決まった東京工業大学の大隅良典(おおすみ よしのり)栄誉教授(71)に続く、日本人の2日連続での受賞はならなかった。
授賞理由は「物質のトポロジカル相とトポロジカル相転移の理論的発見」。受賞したのは米ワシントン大学のデービッド・サウレス名誉教授、プリンストン大学のダンカン・ホールデン教授 、ブラウン大学のマイケル・コスタリッツ教授の3氏。
トポロジーは幾何学の一分野である位相幾何学のこと。3氏はトポロジーという概念を利用して物質の表面の特殊な状態を理論的に説明。超電動や超流動体など物質表面が関係する現象の解明に道を開いた。この功績は後に超電導体や量子コンピューターの研究などに活用されている。
授賞式は12月10日にストックホルムで開かれ、賞金800万クローナ(約9,500万円)が3氏に贈られる。
昨年物理学賞を受賞した梶田隆章(かじた たかあき)氏に続く連続同賞受賞に期待が高まっていた。
関連リンク
- ノーベル財団ホームページ
- ノーベル財団プレスリリース「The Nobel Prize in Physics 2016」