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米探査機ジュノーが木星軌道に 5年の長旅終え観測開始

2016.07.05

 米航空宇宙局(NASA)の木星探査機「ジュノー」が日本時間 5日、木星の周回軌道に入った。ジュノーは2011年8月 に打ち上げられて以来5年近く長旅を続けてきた。今後、木星周回軌道を約1年8カ月かけて37周し、木星のガスなどを詳しく観測して太陽系最大の惑星である木星誕生の謎に迫る。

 NASAによると、ジュノーは軌道に入るためのエンジンを噴射し、5日昼過ぎに計画通り周回軌道に入ったことが確認された。ジュノーの軌道は木星に近づいたり遠ざかったりする。ジュノーは今後、周回中に木星上空約5千キロまで定期的に接近し、木星のガスの成分や内部構造、磁場、さらに木星が岩石質の核を持つかどうかなどについても詳しく調べる。

 ジュノーには、木星以遠を観測する探査機としては初めて、原子力電池ではなく3枚の大型太陽電池パネルが搭載された。このため微弱な太陽光で長旅が可能かどうか心配されたが無事木星に到達した。

 木星を周回する探査機は1989年に打ち上げられ95年に到達した「ガリレオ」以来。ガリレオは多くの観測成果を残して2003年に木星に突入し任務を終えた。

 木星は大きさや質量が太陽系で最大の惑星で質量は地球の約320倍。赤道に並行して見えるしま模様や赤い斑点がある。太陽からの距離は最も遠い時は約8億2千万キロ、近い時は7億4千万キロ。約12年かけて太陽の周りを回る。主に水素やヘリウムのガスでできているガス惑星。組成が太陽と似ているものの木星には窒素なども多くあることから、木星誕生の過程が詳しく分かれば太陽系の起源の謎解明につながるとされている。

画像1 NASAのハッブル宇宙望遠鏡がとらえた木星のオーロラの紫外線データと木星の可視光データを合成した画像。NASAが6月30日公開した(提供 NASA/ESA/and J. Nichols 〈University of Leicester〉)
画像1 NASAのハッブル宇宙望遠鏡がとらえた木星のオーロラの紫外線データと木星の可視光データを合成した画像。NASAが6月30日公開した(提供 NASA/ESA/and J. Nichols 〈University of Leicester〉)
画像2 木星に接近した木星探査機ジュノーの想像図(提供 NASA)
画像2 木星に接近した木星探査機ジュノーの想像図(提供 NASA)
写真3 木星探査機ジュノー搭載カメラが初めて撮影した木星 。撮影したのは6月29日で、この時点でジュノーは木星から530万キロ離れていた。左上に見える白褐色の小さな天体は木星の衛星イオ(提供 NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS)
写真3 木星探査機ジュノー搭載カメラが初めて撮影した木星 。撮影したのは6月29日で、この時点でジュノーは木星から530万キロ離れていた。左上に見える白褐色の小さな天体(○内)は木星の衛星イオ(提供 NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS)

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