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福山型筋ジスは特定の糖欠損が原因 難病の治療法開発に期待

2016.02.29

 体の筋肉が徐々に萎縮する遺伝性難病の筋ジストロフィーのうち、日本人に多い福山型は、筋肉細胞の表面にある種の糖がないことを、神戸大学医学研究科の戸田達史(とだ たつし)教授らの研究グループがこのほど発見した。根本的な治療方法がなかった筋ジストロフィーの治療薬開発につながる可能性がある、と期待される。論文は米科学誌に掲載された。

 福山型は、特定の遺伝子異常を両親から受け継ぐことで発症する劣性遺伝病。乳児期に発症し、歩行困難や脳障害を伴うなど重症化するケースが多く、家族の看病負担も大きいが根治は難しく回復のための有効な治療法もなかった。

 これまでの戸田教授らの研究で、糖が鎖状につながって筋肉細胞表面にある「糖鎖」の異常が発症に関わることは分かっていたが詳しい仕組みは不明だった。研究グループは、筋肉細胞の表面にある「ジストログリカン」と呼ばれるタンパク質に結合している糖鎖の構造をあらためて詳しく調べた。

 その結果、この糖鎖に、それまでバクテリアや植物にしかないとされてきた「リビトールリン酸」という珍しい糖があることを見つけた。また、福山型などの発症原因とされる三つの遺伝子との関連を調べると、これらの遺伝子がないとリビトールリン酸が作られず、リビトールリン酸を糖鎖に組み込めないことも分かった。さらに筋ジス患者のモデル細胞を作製して調べたところ、あるはずのリビトールリン酸がなかった。

 こうした研究成果を基に、リビトールリン酸をつくる材料となる物質(CDP-リビトール)を患者のモデル細胞に加える実験を行った結果、この酸が鎖に組み込まれ、糖鎖の異常がなくなった、という。このため研究グループは、リビトールリン酸を作るCDP-リビトールが糖鎖異常を改善し、治療薬の候補になる、とみている。

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