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「きぼう」から発展途上国の超小型衛星放出 国連宇宙部と取り決め締結

2015.09.09

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」から発展途上国の超小型衛星を放出する協力取り決めを国連宇宙部と締結したことを、8日明らかにした。この連携協力によって、衛星打ち上げ能力を持たない国に対し、宇宙空間利用の機会を提供することができる、とJAXAは言っている。

 JAXAによると、安い費用と手軽な技術で製作できる超小型衛星は、教育や通信、災害低減や人材育成など、さまざまな利用例がある。一方、「きぼう」は、独自のエアロックシステムとロボットアームによって、超小型衛星を宇宙空間へ放出するISSで唯一の能力を持つ。国連宇宙部の加盟国とのネットワークやノウハウを活用して超小型衛星の利用機会を提供し、発展途上国などの宇宙関連技術の向上に貢献できる、としている。

 超小型衛星の放出は、まず「きぼう」の船内で衛星搭載ケースを親アーム先端取り付け型実験プラットフォームに取り付け、エアロックから船外に搬出する。次に実験プラットフォームをISS進行方向と逆側、下方45度に向けた後、衛星搭載ケース内のバネにより衛星を放出し、地球周回軌道に投入する、という手順で行われる。

 ロケットによる直接打ち上げられに比べて、ISS向けの船内貨物として地上からISSまで輸送されるので、震動などの打ち上げ条件が厳しくない。さらに、放出前にISS内でのクルーによる事前チェックが可能、といったメリットがある、とされている。

 放出衛星の募集案内は、国連宇宙部のホームページに近く掲載されるほか、JAXAホームページ「国際宇宙ステーション・きぼう広報・情報センター」の英語ページにも掲載予定という。

 政府の宇宙開発戦略本部(本部長・安倍首相)が1月9日に決定した「宇宙基本計画」では、予算配分に見合う政策効果の実現を重視することが明記された。同時に「諸外国との協力や外交努力により、宇宙産業の国外における受注獲得を後押しすることを通じ、産業基盤の維持・発展に貢献する必要がある」、「日米の連携・協力に加え、価値観・戦略的利益を共有する国々との協力を強化し、欧州、豪、印、ASEAN などとの間で、わが国の安全保障政策との整合性を踏まえ、重層的な協力関係を構築する」など、国際協力の強化がうたわれている。

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