ニュース

研究開発投資効率の悪さ 財政諮問会議で指摘

2015.07.17

 日本の研究開発投資効率の低さが、16日開かれた経済財政諮問会議(議長・安倍首相)で指摘された。

 内閣府が会議に提出した資料は、国際的にみて日本の研究開発投資の効率が低いことを指摘し、「部門を超えた人材交流や成長資金の供給促進などを通じて、 イノベーションのインプットを生産性の向上に結び付けていくことが鍵となる」としている。

 経済協力開発機構(OECD)の資料を基に作成されたグラフも示された。それによると、日本の研究開発投資比率は3%を超え、スウェーデン、フィンランドに次いで高い国となっている。しかし、広義の技術進歩を表す生産性指標とされる全要素生産性は、研究開発投資比率が日本より下の米国、ドイツ、英国などの方が日本より高いか同等とされている。

 研究開発投資比率は、研究開発投資総額の国内総生産(GDP)に占める割合を示す数値。全要素生産性は、技術革新や知的財産の有効活用といった資本や労働力によらない生産性を表す。研究開発投資比率の伸びが高い国ほど、全要素生産性の伸びも高い傾向がある、とされている。

 日本の研究開発投資効率が悪いという声は、これまでもあった。例えばOECD科学技術政策委員会「グローバル・サイエンス・フォーラム」の議長を務める永野博(ながの ひろし)政策研究大学院大学非常勤講師は、「非常に質の高い論文の数を政府が投じている研究資金で割ってみると、いかに日本の研究投資の効率が悪いかが分かる」と言っている。(2011年8月3日インタビュー・永野博氏「国力に合った科学技術国際協力を」第1回「国際協力は鬼門?」参照)

 経済財政諮問会議では、榊原定征(さかきばら さだゆき)経団連会長ら4人の有識者議員から「2015 年後半の経済財政諮問会議の取り組みについて」と題する資料も提出された。この中で有識者議員たちは「新たな市場開拓に向け、健康産業や観光等の成長産業化、ロボットや人工知能等の取り組みの加速」を、潜在的な成長力の強化策の一つとして求めている。

関連記事

ページトップへ