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小型で軽い非破壊検査のX線源を開発

2014.06.05

 小型で軽い非破壊検査用パルスX線源を開発したと、産業技術総合研究所(産総研)が6月3日発表した。産総研計測フロンティア研究部門の鈴木良一首席研究員と加藤英俊研究員がライフ技術研究所、つくばテクノロジーと共同で成し遂げた。

 開発したX線源は、針葉樹型カーボンナノ構造体電子源を用いて、従来のX線管の寿命に比べて10倍の長寿命化を実現した。小型駆動回路を開発して、厚さ70mm以下、重さ2.5kg以下の小型軽量化を達成した。このX線源で、これまで困難だった狭い場所でも検査が可能になった。開発チームは「ロボットなどに搭載すれば、効率的な非破壊検査を実施でき、安全安心社会の実現に貢献できる」と期待している。

 高度成長期の建築物や工場などのインフラは、建造されてから半世紀近くが経過して老朽化が懸念されており、現場での非破壊検査のニーズが高まっている。持ち運びが簡単で、狭い空間でも使える小型のX線源が待望されていた。

 開発したX線管は、針葉樹型カーボンナノ構造体を用いた電子源に高電圧をかけて電界電子放出現象により電子を引き出し、その電子を標的に入射させてX線を発生させる。このX線管は瞬間的に強いX線を発生でき、非破壊検査に使える。

 電子を放出する針葉樹型カーボンナノ構造体は、先端がカーボンナノチューブと同じ曲率を持つが、基板側が太くなり、壊れにくい。安定化処理工程で、ナノ構造体の弱い部分を取り除き、電子源としての出力安定性を向上させた。1ショット15mW時の投入電力でX線を発生させて試験した結果、可搬型非破壊検査用X線源としての一般的な条件で10年以上交換せずに使えることを確かめ、耐久性の点でも十分に実用化できるめどをつけた。

 開発チームの加藤英俊研究員は「このX線源は現在ある製品よりかなり小さいので、狭い場所の非破壊検査に向いている。電源もバッテリーや乾電池、USB電源でよい。既に実用化の段階に来ている。ロボットに搭載する自動検査システムを念頭に、さらに軽量化し、長寿命化を進めたい」と話している。

開発された小型軽量のパルスX線源と金属製のバルブの透過写真
写真1. 開発された小型軽量のパルスX線源と金属製のバルブの透過写真

 

電子を放出する針葉樹型カーボンナノ構造体の電子顕微鏡写真
写真2. 電子を放出する針葉樹型カーボンナノ構造体の電子顕微鏡写真
(いずれも提供:産業技術総合研究所)

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