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アルツハイマー病の治療に期待の成果

2007.11.19

 アルツハイマー病は、神経細胞内のタンパクが過剰にリン酸化し、神経細胞をつなぐシナプスを消失させることによって引き起こされることを、理化学研究所の研究チームがマウスを使った行動実験と、機能的マンガン増強MRI法などによる脳機能の変化を調べる研究で突き止めた。

 アルツハイマーの患者の脳では、神経原繊維変化がみられることと、神経原繊維変化がタウタンパクと呼ばれる微小管結合タンパクの過剰リン酸化によることが、これまでに知られていた。理化学研究所脳科学総合研究センター・アルツハイマー病研究チームの高島明彦チームリーダー、木村哲也専門職研究員らの研究成果は、神経原繊維変化が生じる以前、過剰リン酸化タウタンパクが神経細胞内に蓄積された段階で、すでにシナプスの数の現象を引き起こし、それが記憶障害をもたらすことを確かめたところがポイント。

 過剰にリン酸化されたタウタンパク質は、リン酸化酵素の阻害剤で普通の状態に戻すことができる。神経原線維変化ができる前の早期の記憶障害を見つけることで、アルツハイマー病の治療法開発につなげることが期待できる成果、と研究者たちは言っている。

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