若田光一さん(50)が3月9日、15カ国で運用される国際宇宙ステーション(ISS)の第39代コマンダー(船長)に就任した。ISS船長は米ロが大半で、欧州とカナダが各1人いるが、アジアでは初めてで、有人宇宙飛行の歴史に1ページを記した。
指揮権委譲式は日本時間3月9日午後6時から10分間ほど、ISSの日本実験棟「きぼう」で6人の全乗組員が集まって開かれた。前任のロシアのオレッグ・コトフ飛行士(48)から引き継いだ。その模様はインターネットで中継された。
若田さんは笑顔で「地球最大規模の国際プロジェクトで大役を任されたのは、日本が築き上げてきた実績と高い信頼の現れです。日本らしい『和の心』を大切に、相手を思いやり、調和の中から、みんなと協力してやっていきたい」と語った。また「東日本大震災から3年がたとうとしています。(約400キロ上空の地球周回軌道からも)震災地域の町の明かりが力強く輝いているのが見えます。復興に向けた努力を感じ、励まされます」と大震災に言及した。
若田さんは1992年、日本航空の機体整備技術者からNASDA(現JAXA)の宇宙飛行士になり、今回で4回目の宇宙飛行。ロボットアーム操作の達人で、日本人初のNASAミッションスペシャリスト(搭乗運用技術者)、ISS長期滞在、NASA管理職と、「日本人初」尽くしの経験を積み重ねて、有人宇宙飛行でリーダーシップを発揮してきた。昨年11月からISSに滞在中で、5月中旬に地球に帰還するまで米ロの飛行士5人をまとめ、率いる。