米ハワイ島のマウナケア山頂にある「すばる望遠鏡」が、地球から127億2000万光年という、現在知られているうちで最も遠い距離にある「原始銀河団」の姿を捉えた。観測に成功した総合研究大学院大学や国立天文台、京都大学などの研究チームによると、発見された原始銀河団は、約137億年前とされる宇宙の誕生から約10億年後にはすでに存在していたことになり、宇宙の構造や銀河の進化の解明の手がかりになりそうだ。
宇宙には、100-1000個もの銀河が集まった「銀河団」が見つかっている。研究チームは、「かみのけ座」の方向にあって重点的に観測している天域(すばる深宇宙探査領域)を探索していて、遠方銀河の数密度が周辺よりも5倍も高く集まっている領域を見つけた。詳しく分光解析など行った結果、この集団は127億2000万光年先にある原始銀河団と分かった。
これまでは、2005年にすばる望遠鏡が見つけた126億5000万光年先が最も遠い銀河だった。なおハッブル宇宙望遠鏡の観測により、131億光年先にも原始銀河団候補があることが指摘されているが、距離決定に不可欠な分光観測がされていないため、正確な距離は確定していないという。