アンドロメダ銀河に次いで銀河系に近い渦巻き銀河「M33(さんかく座星雲)」の高解像度画像を国立天文台が公表した。ハワイ島マウナケア山頂上で「すばる望遠鏡」が観測を開始してちょうど10年目にあたるのを期して、国立天文台、リトアニア物理学研究所、県立ぐんま天文台などの研究者が、すばる望遠鏡の主焦点カメラによる観測データから作製した。これだけの広さをこれだけの解像度と深さで観測したM33の画像はほかにないという。
M33は銀河系に近いだけでなく、ほぼ真正面を向いているため、渦巻き銀河の構造を調べるには最適な天体と言われている。銀河系に比べると若い球状星団を持ち、全体の質量が銀河系より1けた小さいといった特徴を持つ。約1,000万年前という宇宙の歴史では最近、大量に星が生まれたことが、銀河中心部の観測から分かっており、円盤部には散開星団や若い大質量の星が形成されている領域が存在している。
研究者たちは、この高解像度画像を解析すると、これらのひとつひとつの天体を詳しく調べることができ、銀河の星形成史の全容を調べることが可能になると言っている。既に銀河系に見られるコンパクトな球状星団とは種類の異なる非常に広がった球状星団が見つかり、M33 の外から落ちてきた矮(わい)小銀河の残がいであると考えられている。