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脳神経内のアセチルコリンの可視化に成功

2012.04.23

 関西医科大学と科学技術振興機構は、パーキンソン病やアルツハイマー病などに大いに関係しているとみられる神経伝達物質「アセチルコリン」の脳神経での分布を可視化することに、同大医学部の矢尾育子講師ら世界で初めて成功したと発表した。

 アセチルコリンの検出法としてはこれまで、受容体や分解酵素に対する抗体を用いた間接的な手法が一般的で、アセチルコリンそのものを直接検出できなかった。また、脳組織内の分布を調べる方法として、「質量分析イメージング法」というレーザー照射でイオン化させた物質の質量から組成を分析し、画像化する方法があるが、脳組織内に豊富にある脂質などの分析には適するが、アセチルコリンなどの微量分子の検出は難しかった。

 矢尾講師らは、質量分析を2回以上連続して行う「多段階質量分析イメージング法」を応用して、ごく微量のアセチルコリンを脳組織の切片から直接検出し、脳組織のどこにどれだけ分布するかを、存在量に合わせて赤から青に色分けして可視化した。

 今回はマウスの脊髄や脳の組織切片を使い、同方法の有効性を確かめた。今後は、レーザー照射の密度などを工夫することで検出感度をさらに高め、アセチルコリン以外の神経伝達物質などの検出にも応用できるという。研究成果は、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業「さきがけ」によって得られた。

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