環境省と山階鳥類研究所は27日、小笠原諸島聟島(むこじま)で人工飼育され、巣立ったアホウドリのうち3羽が、昨年12月から今年2月にかけて新たに聟島に戻っていることが確認された、と発表した。
足環から2008年に巣立った1羽と09年に巣立った2羽であることが分かった。
アホウドリは現在、伊豆鳥島と尖閣諸島にしか繁殖地がない。絶滅の危機から救うために鳥島で生まれたばかりのヒナを聟島にヘリコプターで移送し、人工飼育の後に巣立ちさせる試みが2008年から行われている。巣立ったアホウドリはカムチャッカ半島の東方まで飛来することが追跡調査で確認されているが、これらのヒナが成長し、繁殖のために鳥島でなく聟島へ戻ってくることを狙った試みだ。
既に昨年2月、最初の年に聟島から巣立ったヒナが3歳になって聟島に戻って以来、同年4月までに7羽が里帰りしている。この中には2009年に巣立った2歳のオス1羽も含まれていた。
聟島には、聟島から巣立ったアホウドリではない3羽も昨年12月から今年1月の間に戻っていることが確認されている。山階鳥類研究所はこのうちの1羽は足環から鳥島で生まれ、巣立ったアホウドリと判明したが、残り2羽は現在調査ができていない尖閣諸島生まれか、鳥島で生まれたものの足環をつけ損なったアホウドリの可能性がある、と言っている。