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人工飼育のアホウドリ聟島に帰郷 2歳で初めて

2011.03.28

 2年前、小笠原諸島聟島で人工飼育された後、巣立ったアホウドリのヒナ1羽(オス)が聟島に戻った、と山階鳥類研究所が28日発表した。

 このアホウドリ移住プロジェクトは、新しい繁殖地をつくり絶滅を防ぐ目的で3年前に始まった。その年に巣立った1期生10羽のうち4羽(オス2羽、メス2羽)が、2月10日から3月17日の間に相次いで飼育場所である聟島の西端の地に戻ってきたのが確認されている。2009年に巣立った2期生の帰郷が確認されたのは初めて。

 アホウドリは、夏はアリューシャン列島やベーリング海、アラスカ湾などで過ごし、冬になると繁殖のため日本近海に移ってくる。150年ほど前には北西太平洋の島々に分布しており、当時は少なくとも数十万羽いたと考えられている。しかし、羽毛目当ての乱獲の結果、一次は絶滅寸前にまで追い詰められ、今では絶滅危惧種として環境省レッドリストに載っている。現在、尖閣諸島と鳥島だけに2,000羽程度しか生息していない。

 アホウドリ移住プロジェクトは、鳥島がいつ噴火するか分からない火山島であることから繁殖地を広げ、絶滅の危機を減らそうという目的で始まった。生まれたばかりのヒナをかつてアホウドリの繁殖地の一つだった聟島へヘリコプターで移送、人工飼育した後、巣立ちさせている。山階鳥類研究所が環境省、米魚類野生生物局、三井物産環境基金、公益信託サントリー愛鳥基金などの支援を受けて、3年前から実施している。

聟島に戻ってきたアホウドリ(2歳、オス)
聟島に戻ってきたアホウドリ(2歳、オス) (提供:山階鳥類研究所)

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