行政刷新会議は20日、主要政策に対する仕分け作業を開始した。初日は原子力・エネルギー関連の予算について議論し、高速増殖原型炉「もんじゅ」の出力試験再開を前提とした調整費22億円の2012年度予算計上を見送るべきだ、など原子力関係の研究開発、立地対策いずれに関しても抜本的な見直しを迫る評価結果を公表した。
原子力・エネルギー関係予算全体の見直しも提言、「除染、廃炉の研究開発など原発の事故対策・安全確保対策と再生可能エネルギー利用促進対策などへ大胆にシフトすべきである」としている。
高速増殖炉については、研究開発存続の是非を含め、「従来の体制・計画を抜本的に見直し、再検証を行い、国民の徹底した納得を得られる結論を得るべきだ」としている。高速増殖炉の研究開発を担っている日本原子力研究開発機構に対しても、業務全般にわたる「厳格な精査」と「多額の予算を執行していることの説明責任を果たす」ことを求めた。退職者の再就職先と随意契約を具体的に挙げて「透明性・公正性・競争性確保の観点からさらなる見直し」が必要だとしている。
福島第一原発事故を機に、あらためて妥当性が問われている電源立地地域対策交付金については「必要性を精査し、事故対策や防災・安全対策を拡充する仕組みを検討すべきだ」とするとともに、「立地を受け入れた自治体にとっての使い勝手の良さに対しても配慮することが必要」とした。
めどが立たないまま、積立金が取り崩されている最終処分積立金、再処理積立金についても、「積立金の使途は、真に効果のあるものに限定するとともに、情報開示を徹底すべきだ」としており、原子力発電環境整備機構の広報事業と地層処分実規模設備整備事業を名指しして「最終処分場の選定・立地実現に真につながるものとなるよう抜本的に見直しを行うべきだ」とした。
行政刷新会議は、野田首相を議長、蓮舫内閣府特命担当大臣(行政刷新)を副議長、議員に藤村官房長官、古川国家戦略担当相、安住財務相、川端総務省の4大臣のほか、民間から葛西 敬之・JR東海会長、片山 善博・慶應義塾大学教授、松井 孝典・千葉工業大学惑星探査研究センター所長、茂木 友三郎・キッコーマン取締役名誉会長 取締役会議長ら6人を加えた計12人からなる。今回の提言型政策仕分けは23日まで行われる。