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思春期突発性側彎症の原因遺伝子発見

2011.10.25

 思春期の50人に1人がかかっているといわれる思春期突発性側彎(そくわん)症の原因遺伝子が、慶應義塾大学医学部の研究者たちによって初めて突き止められた。

 松本守雄准教授ら慶應義塾大学医学部整形外科学教室の脊椎外科研究グループは、慶應義塾大学をはじめ全国8個所の側弯治療施設の患者訳2,000人からDNA試料を採取し、理化学研究所ゲノム医科学研究センターで解析した。この結果、3つの一塩基多型(SNP)が思春期突発性側彎症に関連することが分かった。3つのSNPはいずれも10番染色体上にある。

 思春期突発性側彎症は、女性の方が男性より10倍ほど患者が多い。3つのSNPは男女ともに共通して見られた。

 研究グループは今回の結果を踏まえて大規模な国際共同研究を始めている。今後、3つのほかにも関連のSNPが見つかることが予想されており、今後の研究の進展を見越して研究グループは、臨床情報と組み合わせた思春期突発性側彎症の診断・予測モデルの作成にも取りかかっている。

 患者や家族にとっては症状の進行が大きな不安となっており、さらに進行を観察するための頻繁なエックス線診断による放射線被ばくの心配も加わる。診断・予測モデルによって症状の進行がある程度正確に見通すことができれば、精神的負担の軽減にもつながると期待されている。

 患者の多くは、数カ月に一度の経過観察を受ける程度の軽症だが、進行するとコルセットなどを装着する治療が必要になる。今回の成果を基に病態の理解が進めば、新しい治療法開発の可能性も期待できると研究者たちは言っている。

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