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予想値なしの「大津波警報」へ 気象庁が改善案

2011.08.10

 気象庁は、東日本大震災(地震名「2011年東北地方太平洋沖地震」、3月11日午後2時46分発生)で地震規模を過小評価して津波警報を出したことが避難の遅れにつながったとの指摘を受け、有識者らによる「津波警報改善に向けた勉強会」を開催してきた。その意見をもとに警報改善への課題と方向性を取りまとめ、このほど公表した。マグニチュード(M)8以上の巨大地震や津波地震の場合は、予想される津波の高さは示さずに「巨大な津波のおそれ」として警報を発表する方針だ。国民からの意見も募集して、9月中に最終的な取りまとめを行う。

 今回の震災で、気象庁は地震の規模を当初はM7.9と推定し、発生3分後に、宮城県に6m、岩手・福島県に3mの高さ予想の大津波警報(第1報)を発令した。その後、岩手県釜石市沖のGPS波浪計で急激な潮位上昇が観測されたことから、15時14分に大津波警報第2報(宮城県10m以上、岩手県・福島県6m)を発令したが、各県には予想を超える巨大津波が襲った。また停電により、津波警報の続報や津波の観測情報は被災地の住民に十分伝わらなかった。地震規模についても改めて計算され、発生2日後に、M9.0に修正された。

 「中間とりまとめ」で、津波警報発表の課題として挙げたのは4点。

  1. 地震発生3分後に発表した津波警報第1報での地震規模推定が過小評価となり、また、評価が過小である可能性を認識できなかった。
  2. 過小評価の中で岩手県や福島県に発表した「予想される津波の高さ3m」が避難の遅れにつながったと考えられる。
  3. 地震発生約15分後に計算されるモーメントマグニチュードにより、津波警報の続報を発表することとしていたが、地震計が振り切れたためできなかった。また、沖合津波系のデータを利用した津波警報更新の手段が不十分だった。
  4. 津波情報で発表した津波の観測結果「第1波0.2m」等が避難の遅れ、中断につながったと考えられる。

 

 このため、津波警報改善の基本方針では、第1報の迅速性は確保し、地震発生後3分程度以内の発表を目指す。時間とともに得られるデータ・解析結果に基づき確度を高めた警報に更新する。ただし、更新された警報が伝わらない可能性も考慮する。津波波源(海底地殻変動)の推定に不確定性が残っている間は、その不確定性の幅の中で安全サイドに立った警報発表を行う——ことなどを掲げた。

 具体的には、現行の津波の予想高さ区分(0.5m、1m、2m、3m、4m、6m、8m、10m以上)が細分化されすぎて、防災対応とリンクしていないことから、5段階程度に見直す。警報の発表の仕方についても、最大限の危機感を伝えるべき第1報では、予想高さ区分の数値は発表せずに「巨大な津波のおそれ」等の“定性的表現”とする。なお、M6クラス後半からM8に近い規模の地震については、これまでの運用と同様、第1報から数値による発表を継続する。津波の観測結果の発表については、後続の波の方が大きくなり、時には第1波の高さの10倍を超えることもあるため、避難行動を抑制しないよう発表方法を改善する。情報文については、避難行動を促す表現に内容を見直し、簡潔かつ効果的に避難の必要性が伝わるようにする——ことなどを提案している。

 「津波警報改善に向けた勉強会」はこれまで6月8日、7月27日に開催した。「中間とりまとめ」に対する国民からの意見を9月2日まで募集し、次回の第3回勉強会で検討する。さらに中央防災会議専門調査会とも協議し、9月中には「最終とりまとめ」を確定させる。

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