福島県は14日、浅川町の畜産農家が暫定基準を超す放射性セシウムを含む稲わらを餌として与えていた肉牛を東京都、横浜市、千葉県、仙台市に出荷していた、と発表した。稲わらに含まれる放射性セシウムの量は、最大で暫定基準(1キログラムあたり300ベクレル)の約70倍に相当する。この農家から出荷された牛は、4月8日から7月6日まで12回、42頭に上る。稲わらは県内白河市の稲作農家から購入していた。
県は、肉牛を飼育する県内農家に対し緊急立ち入り調査を実施し、調査が完了する予定の18日ごろまで、肉牛の出荷と移動を自粛するよう生産者、生産者団体に要請するとしている。
厚生労働省は、牛が出荷された卸売市場を所管する東京都、仙台市、横浜市に対し、肉牛の流通状況や放射性物質検査が可能かどうかを調べるよう依頼した。
福島県では既に、緊急時避難準備区域内にある南相馬市の畜産農家から出荷されていた肉牛から暫定基準を超す放射性セシウムが検出されたことが東京都の検査で明らかになっっている。県は、県内の緊急時避難準備区域と計画的避難区域から出荷される肉牛すべてについて放射能検査を行うことを決めていた(2011年7月12日ニュース「福島県、農林省が避難・避難準備区域の肉牛放射能検査参照」。
東京都は14日、当初、発表していた南相馬市から芝浦と場に搬入された肉用牛11頭のほかにも同じ畜産農家から6頭が既にと畜されており、このうち検査済みの4頭からも暫定基準を超す放射性セシウムが検出されたことを明らかにした。都によるとこの6頭を合わせた17頭の牛肉の販売先は、11都道府県にわたっており、既に8都道府県(東京都、神奈川県、愛知県、北海道、徳島県、高知県、静岡県、大阪府)で373キログラムが消費された可能性がある。
農林水産省は15日、南相馬市で起きたケースが、原発事故後の4月上旬まで水田に放置されていた稲わらが餌として与えられていたためとして、適正な飼養管理を求めたこれまでの通知を再周知するよう東北、関東農政局あて指示した。
鹿野農林水産相は、12日午前の記者会見で、緊急時避難準備区域と計画的避難区域から出荷される肉牛すべてについて放射能検査を実施するとした福島県に全面的に協力することを明らかにしている。