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日本学術会議会長ホメオパシーの治療効果全面否定

2010.08.25

 18世紀に端を発す“民間医療”「ホメオパシー」について、日本学術会議の金澤一郎会長は24日「治療効果は科学的に明確に否定されている。治療に使用することは厳に慎むべき行為だ」とする会長談話を発表した。

 会長談話によると、ホメオパシーはレメディー(治療薬)と呼ばれる「ある種の水」を含ませた砂糖玉があらゆる病気を治療できると称している。レメディーとは、植物、動物組織、鉱物などを水で100倍希釈して振蕩(しんとう)する作業を十数回から30回程度繰り返して作った水を、砂糖玉に浸み込ませたものだ。

 談話は、こんな極端な希釈を行えば、水の中に元の物質が含まれないことは誰もが理解できること。「ただの水」だから「副作用がない」ことはもちろんだが、治療効果もあるはずがない、と明確に治療効果を否定している。

 米国のフレクスナー報告(1910年)や英国下院科学技術委員会による徹底した検証結果でも、ホメオパシーの治療効果は否定されている事実にも触れている。他方、その後、否定されたとはいうものの過去に「ホメオパシーに治療効果がある」と主張する論文が出されたことや、現在、国内にホメオパシー施療者養成学校までできている事実も紹介し、医療関係者の中にも根強くホメオパシー肯定者がいることも明らかにしている。

 国内では「ホメオパシーの一般への普及、浸透を図り、自らの健康は自らが守るという、健康に対する自立を勧める」ことなどを目的とする団体「日本ホメオパシー医学協会」が1998年に設立されている。同協会のホームページによると、2000年に英ホメオパシー医学協会と提携し、日本で初のプロフェッショナル・ホメオパス認定試験が英国大使館で実施された。現在、約360人の認定ホメオパスが存在し、約900人の会員を抱える団体となっているという。

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