東京都や企業が先行して取り組みを始めている水ビジネスの海外展開に、国土交通、厚生労働、経済産業の3省が積極的に後押しすることになった。
1日、3省は「海外水インフラPPP協議会(仮称)」を発足させることを明らかにし、7日から協議会に参加する企業の委員を公募、7月上旬に第1回の協議会を開きたいとしている。協議会には環境、外務、総務の各省も加わるほか、東京都や横浜市、大阪市といった地方自治体、国際協力機構(JICA)、日本貿易振興機構、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などの独立行政法人も参加する予定。
3省によると、海外における上下水道の整備、運営・管理は、今後も大きな需要が見込まれ、2025年には約80兆円規模の市場に成長するとみられる。しかし、日本は企業に優れた技術があるにもかかわらず運営・管理を含むトータルマネジメントの実績は少ない。水源確保から上下水道事業までの水管理をパッケージとしてとらえ、官民連携による海外展開に向けた取り組みを積極的に推進する、としている。
日本は排水処理に必要な膜技術で世界をリードしており、都市の水再利用が盛んだ。さらに、漏水率が小さいなど日本の上下水道システムの優れた点は多いのに、上下水道システムの構築から、その後の維持管理までを丸ごと受注する水ビジネスの海外展開では欧州の企業が圧倒的な強みを示している。
ようやく最近になり、東京都が日本企業と組んでオーストラリアの水道事業にかかわるなど海外水ビジネスへ乗り出そうという動きが出ている。科学技術振興機構も、大垣眞一郎・国立環境研究所理事長を研究総括とする戦略的創造研究推進事業(CREST)の新規プロジェクト「持続可能な水利用を実現する革新的な技術とシステム」を昨年度からスタートさせた。このプロジェクトは、気候変動などによって将来さらに深刻化すると予想される国内外のさまざまな水利用の課題を解決する水利用システムの創出を目指している。