漏水率の低さなど世界に誇る水道技術の世界進出を目指す東京都は、日本の企業連合などが買収したオーストラリアの水道事業会社とコンサルティング契約を結ぶことを11日、明らかにした。
オーストラリアの水道事業会社は、ユナイテッド・ユーティリティー・オーストラリア(UUA)社で、官民出資の産業革新機構と、三菱商事、日揮、マニラ・ウォーター社が11日、関連会社を含むUUA社の株を100%買収することで合意したことを明らかにしている。株取得額は1億7,600万オーストラリアドル(約150億円)。4,900万オーストラリアドル(約41億円)の債務も引き継ぐ。
UUA社はオーストラリアで上下水道、海水淡水化、工業排水処理、再生水など14の事業を行い、約300万人に給水している。産業革新機構など4社はオーストラリアに新会社を設立し、UUA社の14事業を引き継ぎ、官民連携第1号となる海外水ビジネスを展開するほか、新会社が世界の水市場における日本の民間企業・公的機関の技術・ノウハウを結集したプラットフォームとなることも目指す。
東京都は、産業革新機構などからの要請に応じ、コンサルティング契約を通じて、水道局が持つ技術力を最大限に発揮していく、としている。都は水ビジネスの世界展開を目指し、実施方針「東京水道サービスを活用した国際貢献の新たな取り組み」を3月に策定済み。海外の既存事業を引き継ぐ場合と新規に事業を立ち上げる場合、さらに都が単独で受注、企業グループと共同で受注、企業グループと共同買収といったさまざまなケースを想定し、プロジェクト形成のイメージやビジネスモデルについての検討を始めている。