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革新的技術推進費採択課題3件に縮小

2010.01.29

 総合科学技術会議の有識者議員で構成する革新的技術選定等会議は28日、iPS細胞研究などの革新的技術を加速するため、今年度予算に鳴り物入りで計上された革新的技術推進費の採択課題3件をようやく決定した。採択時期が大幅に遅れ、当初予定より課題数が減った上、60億円の予算のうち、執行するのは約13億円程度になる。

 革新的技術推進費は、今年度当初予算で科学技術振興調整費の一部として創設されたが、第1次補正予算では2,700億円の最先端研究開発支援プログラムが創設されたため、存在感が小さくなった。また、最先端研究開発支援プログラムとの重複を防ぐため、当初、数多くの革新技術を選定する方針だったものが、結局は、ブレイン・マシン・インターフェイス(BMI)による高齢者・障害者自立支援技術、iPS細胞を活用した再生医療・毒性評価技術、スピントロニクス技術、高効率な太陽光発電技術、新超伝導材料技術(磁性元素超伝導体)という5つの対象技術分野が選ばれ昨年6月末に公募が始まった。一方、最先端研究開発支援プログラムの公募も同時期に行われた。

 当初の予定では、まずは最先端研究開発支援プログラムを決定し、その後に革新的技術推進費の配分先を決定する予定だったが、政権交代により補正予算全体の見直しが行われ、最先端研究開発支援プログラムの基金は2,700億円から1,500億円に削減された。また、30人の中心研究者に配分される研究費が1,000億円に減ったことなどから専念義務の解除を含むルールの改正やそれぞれの研究者の計画変更などで年末までかかったことなどが、革新的技術推進費の採択を遅らせた。

 5つの技術について25件の応募があったものの、結局は3件のみが採択されることになり、採択時期が遅れたことで、研究費は大幅に減ることになった。

 慶応義塾大学の里宇明元・医学部教授の「機能代替と回復のための非侵襲BMIの開発」(BMI技術分野)は、当初の6億円から4億円に調整された。産業技術総合研究所の安藤功兒・エレクトロニクス研究部門副研究部門長の「不揮発性メモリの高度化に関する研究」(スピン技術分野)も10億円が約4億円に、東京大学の中野義昭・先端科学技術研究センター教授の「超高効率太陽電池研究開発の加速・強化」(太陽光発電技術分野)も約12億5,000万円が約5億5,000万円に減らされた。

 予算60億円の残り約46億円余りは国庫に返納される。

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