昨年、最も多く引用された論文は神原陽一・東京工業大学応用セラミックス研究所特別研究員の鉄系高温超電導体に関する論文であることを、米国の情報提供会社トムソン・ロイターが24日明らかにした。
鉄系高温超電導体は、神原氏が細野秀雄・東京工業大学フロンティア研究センター教授とともに発見し、直後から世界的な関心を集めているが、論文被引用数でもそのインパクトの大きさが証明された形だ。すでに、米科学誌「サイエンス」は昨年、山中伸弥・京都大学教授による人工多能性幹(iPS)細胞研究に基づく細胞の再プログラミング化とともに、細野教授らによる「銅酸化物ではなく鉄化合物から成る第2の高温超伝導体の発見」を、2008年の「科学進歩ベスト10」に選んでいる。
神原氏は科学技術振興機構の研究員も兼ねており、昨年10月、氏の「鉄ニクタイド系層状超伝導体の電子状態相図の完成」研究が、同機構の戦略的創造研究推進事業「新規材料による高温超伝導基盤技術」の新規課題に選ばれた。
また、細野教授、神原研究員は、未踏科学技術協会の第13回超伝導科学技術賞の受章者にも選ばれている(授賞式は4月15日)。