ハイライト

文献引用件数の半分以上は300の学術誌に集中(ジェームス・テスタ 氏 / トムソンサイエンティフィック・エディトリアル・デベロップメント&パブリッシャー・リレーションズ シニアディレクター)

2007.04.06

ジェームス・テスタ 氏 / トムソンサイエンティフィック・エディトリアル・デベロップメント&パブリッシャー・リレーションズ シニアディレクター

シンポジウム「学術ジャーナルを計る:インパクトファクターの意義とジャーナル評価」(2007年4月5日、トムソンサイエンティフィック社、UniBio Press 主催)講演から

 トムソンサイエンティフィックの学術情報データベース提供部門であるISIは、世界で最も重要で影響力の高い研究成果を幅広く収集することを使命としている。世界各国から収集する学術雑誌は毎年8,700誌に上る。

 すべてではないけれど、すべてを集める必要はないという判断だ。最近の分析によると、300の学術誌に、引用実績の半分以上、出版実績のほぼ3分の1が集中している。さらに引用された論文の95%は、約3,000の学術誌で、カバーされていることも分かっているからだ。

 ただし、データベースに収録する学術誌の選定については、継続的な作業を行っており、2週間ごとに追加と削除がある。選定の基準は、まずその雑誌が、規定の頻度で発行されていなければならない。定期的な出版期日が守られていれば、十分な量の原稿がその雑誌にストックされているとみなされるからだ。記事のタイトル、抄録、著者によるキーワードも英語で書かれていることが必要だ。科学研究の世界的な広がりも考慮して、バランスよく各分野をカバーできるよう、各地域や国で最良の学術誌の収録にも努めている。

 その雑誌に載っている論文の引用のされかたも重要で、歴史のある学術誌は、引用された総数、インパクトファクター(注)などが考慮され、新しい学術誌は、著者と編集委員の実績を調べて、それらがどこで出版されたか、他の著者によって引用されているかどうか、などに注目する。

 こうした作業によって、1年間で約150の学術誌が、データベースから削除される。全体の収録雑誌数は、増えているが。

 雑誌の選定にあたって重視されるものに「自誌の引用率」というのがある。データベースに収録されている8,700の学術誌の80%は、自分の雑誌から論文を引用する率が20%以下。この平均値を大きく上回る場合は、インパクトファクターの数値を上げるために意図的に自誌引用が行われていないかを、調べることになる。不適正に行われていることが分かれば、それが是正されるまで、リストから外す。

注)インパクトファクター:
1年間に、その雑誌に掲載された論文が平均的にどれくらい頻繁に引用されているかを示す尺度。前の2年間にその雑誌に掲載された論文が、その1年間に何回引用されたかを調べ、前の2年間にその雑誌に掲載された論文の数で割った数値で示す。「個々の論文や研究者を評価する指標」あるいは「雑誌の格付けをするもの」といった「誤解」が研究者たちにあり、今回のようなシンポジウムが開かれる理由にもなっている。

ページトップへ