昨冬、北極海を覆った氷の厚さは、観測を行ったこの6年で最も薄かったことが欧州宇宙機関(ESA)の衛星による観測で明らかになった。
英国コレッジロンドン大学の研究者たちは、2002年からインビサット衛星に搭載されているレーダ高度測定器で北極海の氷の厚さを観測している。昨年の夏、北極海の氷の量が例年になく大幅に減少し、温暖化の影響が指摘されたが、氷の厚さ自体はそれまでの4年間と同様、一定に保たれていた。しかし、昨年から今年にかけての冬は、氷の厚さがそれまでの5年に比べ、平均で26センチ(10%)薄くなったことが明らかになった。西側部分に限ると厚さの減少は49センチに達している。
研究者たちは、北極海の氷の量は、気温のほかに海流や風など多くの要因によって影響を受けるため、氷の量と同様、氷の厚さについても変化を追跡することが重要だ、と言っている。