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北極海の氷の面積減り史上最小に

2007.08.17

北極海の海氷面積が観測史上最小に(8月15日)
北極海の海氷面積が観測史上最小に (2007年8月15日)
北極海の海氷面積が観測史上最小に(8月15日)
(提供:米国アラスカ州立大学北極圏研究センター、宇宙航空研究開発機構)

 北極海における海氷面積の減少が進み、8月15日に1978年から開始された衛星観測史上最小となったことが、海洋研究開発機構と宇宙航空研究開発機構の観測結果から明らかになった。

 観測データは、氷の面積が過去最小を記録した2005年夏を大幅に上回るペースで減少していることを示している。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第1作業部会は2月に公表した報告書の中で、「北極海の晩夏における海氷が、21世紀後半までにほぼ完全に消滅するとの予測もある」という新見解を明らかにしている。しかし、このままのペースで減少が続けば、北極海の氷の面積はIPCCの予測を大幅に上回り、今夏のうちに2040-2050年の予測値に達する可能性がある、と海洋研究開発機構は警告している。

 北極海の海氷の状況は、宇宙航空研究開発機構が開発し、米国の地球観測衛星Aqua(アクア)に搭載されている高性能マイクロ波放射計で、昼夜の別なく、天候に左右されず観測されている。今年は7月以降、連日、これまでの各月日の海氷面積の最小記録を更新しており、15日についにこれまでの最小面積記録を下回った。

 海洋研究開発機構が北極海で実施している船舶による観測データ、継続的に行っている漂流ブイ観測のデータ、大気データなどを総合的に解析した結果、ことしは、アラスカ沿岸だけでなく、カナダ側の北極海沿岸でも海氷の減少が確認された。この結果、大規模なスケールで海氷が動きやすい状態になり、沿岸付近で作られたばかりの融けやすい氷が北緯80度を越えて北極海内部にまで広がったこと、さらに北極海内部に広がったこれら融けやすい氷が早期に融解したことにより、太陽の日射を吸収することで、海洋の加熱が進んだことなどが、海氷の減少を加速している原因と海洋研究開発機構は推定している。

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