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子どもが群れて遊ぶ空間の復活を提言

2008.09.25

 子どもの健全な成長を促すためには成育環境の改善、とりわけ「子どもたちが群れて遊ぶ『公園・ひろば』の復活」が急がれているという提言を、日本学術会議がまとめ、公表した。

 日本学術会議・子どもの成育環境分科会(委員長・仙田満・放送大学教授)は、戦後、都市化、核家族化、少子化、自動車の普及などにより急激に悪化している子どもの成育環境について検討を続けている。今回、成育環境の中でまず「成育空間」に焦点をあてた提言「我が国の子どもの成育環境の改善にむけて-成育空間の課題と提言-」をまとめた。

 提言は、子ども時代に群れて遊ぶことによって人間として必要な多くのことを身につけることができる、という考え方に立ち、成育空間として遊びの場の重要性を強く打ち出しているのが特徴。先進国の中で、量的に少ない公園を増やすだけでなく、公園の安全性を確保するため「公園の配置計画、安全管理、維持管理、衛生管理、運営管理を住民の立場に立って行う」方策と、プレイリーダーなど子どもたちに遊びを教えるプレイワーカーを養成し、専門職として雇用することなどを求めている。

 このほかにも以下のような多様な方策を提言している。

 「多様な人に育まれる住環境整備の推進」「遊び道の復活」「自然体験が可能な環境づくり」「健康を見守る医療環境づくり」「健康生活のための環境基準の整備」「地域コミュニティの拠点としての教育・保育環境整備」「活発な運動を喚起する施設・都市空間づくり」

 「多様な人に育まれる住環境整備の推進」の中では、「中庭などのコモンスペースをもつ低・中層集合住宅、多世代共生型の共同居住型集合住宅を優先的に建設すべきだ」として、都市部でも戸建て住宅建設を推し進めてきた戦後の住宅政策に根本的な見直しを迫っている。提言によると、戸建て住宅を重視するのは日本と米国くらいにしか見られない現象で、アジア諸国も欧州も都市部では集合住宅が中心となっている。特に住民の目が届く、低・中層集合住宅の中庭は安全面からも優れた子どもの遊び空間であることを強調している。

 日本学術会議は昨年7月にも対外報告「我が国の子どもを元気にする環境づくりのための国家的戦略の確立に向けて」 を公表し、日本の子どもの遊び空間は、1955年ごろから75年ごろまでの20年間で、大都市で約20分の1、地方都市では約10分の1に激減しており、95年ごろまでの次の20年間でさらに2分の1から4分の1に減っているという実態を指摘している。その上で、子どもの成育環境改善のための総合戦略を策定することと「子どもに優しい国づくり・子どもを元気にする国づくり宣言」を政府と関係機関に求めている。

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