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深海底で生分解性プラの分解を観察へ 「江戸っ子1号」を利用

掲載日:2020年3月11日

海洋研究開発機構は無人探査機「江戸っ子1号」を使い、水深5000メートルの深海底で生分解性プラスチックの分解過程を1年間にわたって長期観察する試験を始める。世界的な問題になっているプラスチックごみによる海洋汚染対策の一環。沿岸の浅い海域で生分解性プラスチックの分解が確かめられたことはあるが、深海底では初の試みという。

7日に出航した深海調査船「かいれい」に江戸っ子1号を搭載し、12日ごろに南鳥島の周辺海域で生分解性プラスチックの試料とともに海中に投入する。探査機に内蔵したカメラで試料の分解過程を1日数分間撮影し、連続映像としてとらえる。

バッテリーを増強し、1年間の長期観測に耐えうる性能を備えた「江戸っ子1号365型」
バッテリーを増強し、1年間の長期観測に耐えうる性能を備えた「江戸っ子1号365型」

試料の生分解性プラスチックはポリグリコール酸、酢酸セルロース、ポリ乳酸など。製品化されている化合物に加え、研究開発中の化合物についても調べる。日本バイオプラスチック協会や産業技術総合研究所、東京大学との共同研究だ。

生分解性プラスチックは微生物の働きで最終的に水と二酸化炭素に分解される。しかし、高圧、低温で太陽光の届かない深海底では、微生物の働きが陸上や浅海とは異なる可能性がある。実際に深海底での分解過程を確認することが重要だ。

「江戸っ子1号」による撮影映像(2019年3月南鳥島周辺海域)
「江戸っ子1号」による撮影映像(2019年3月南鳥島周辺海域)

プラスチックごみは毎年800万トン以上がさまざまな経路を経て最終的に海に流れ込んでいると推定されている。ごみの増加を防ぐには、製品としての機能を果たしながら、海中や海底で分解するプラスチックの開発と普及促進がカギになる。

バイオプラスチック協会はプラスチックの生分解性に関する国際標準について、国内の審議や規格の取りまとめを日本プラスチック工業連盟から委託されている。今回の試験の成果は深海での分解試験の分析評価方法の確立や国際規格化に寄与することが期待される。

フィルムや糸、射出成形体などの生分解性プラスチック試料
フィルムや糸、射出成形体などの生分解性プラスチック試料

江戸っ子1号は耐圧ガラス球を開発した岡本硝子(千葉県柏市)が中心となって、東京都と千葉県の中小企業が協力して製作した。2013年には日本海溝で水深7800メートルに到達し、深海魚の姿を映し出すのに成功。海洋機構は2015年、江戸っ子4機を購入した。

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