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日本学術会議の新会長に山極京大総長 新副会長にJSTの渡辺副理事ら3氏

2017.10.03

山極壽一氏〔京都大学提供〕
山極壽一氏〔京都大学提供〕

 日本学術会議は2日に開いた総会で新会長に京都大学の山極壽一(やまぎわ じゅいち)総長を選任した。任期は2日から2020年9月末までの3年。また3日には科学技術振興機構(JST)渡辺美代子(わたなべ みよこ)副理事(科学コミュニケーションセンター長兼ダイバーシティ推進室長) ら3人の副会長を選んだ。学術会議は1日に第24期会員の半数に当たる105人の新会員を決めており、学術会議は山極新会長の下でさまざまな学術界の課題に取り組むことになった。

 山極氏は1952年2月生まれ。1975年京都大学理学部卒業.。同大学大学院理学研究科の修士課程、博士課程で学んだ後、同大学の霊長類研究所助手、大学院理学研究科教授などを経て2014年10月から総長。専門分野は人類学・霊長類学。

 新副会長に選任された渡辺氏は「政府、社会及び国民等の関係担当」。副会長は同氏のほか、奈良女子大学副学長・教授の三成美保(みつなり みほ)氏が「組織運営及び科学者間の連携担当」、東京大学国際高等研究所サステイナビリティ学連携研究機構機構長・特任教授の武内和彦(たけうち かずひこ)氏が「国際活動担当」。

 学術会議は昨年、大西隆(おおにし たかし)前会長(豊橋技術科学大学長)が主導して、防衛省の公募制度への対応を含む軍事研究との関わりについて検討する委員会を設置した。激しい議論を経て今年3月末に「軍事目的のための科学研究を行なわない声明」(1967年)など過去の2声明を引き継ぎ、「軍事的な手段による国家の安全保障に関わる研究が学問の自由及び学術の健全な発展と緊張関係にあることを確認する」などとする新声明を発表していた。

 山極氏はこの声明案を策定した委員の一人。学術会議は、新体制移行後も軍事研究と学術の在り方について議論することを決めている。学術会議はこのほか、遺伝子を自由に改変できるゲノム編集に関わる技術と倫理の関係などについても議論する。学術会議は大西前会長の任期が切れる前の8月から9月にかけ、防災・減災やゲノム編集技術、再生エネルギー利用など現在日本が抱える重要な科学・科学技術的な問題について提言や報告をまとめ、公表している。新体制でもこれらの問題について引き続き議論を深めてその結果を社会に向けて発信していく方針だ。

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