ニュース

アルツハイマー治療法など19課題橋渡し研究推進合同事業に

2009.11.11

 文部科学省と経済産業省、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が今年度からスタートさせる「橋渡し研究推進合同事業」の採択課題19件が、10日公表された。

 経済産業省とNEDOが公募、審査した「基礎研究から臨床研究への橋渡し促進技術開発」としては、アルツハイマー病の原因とみられているアミロイドβ凝集体に着目したワクチン療法の開発(京都大学、日本ベーリンガーインゲルハイム社、三菱化学メディエンス社提案、研究開発責任者・京都大学)など創薬、診断、再生細胞医療、治療機器4分野6件が採択された。実施期間はいずれも今年度から2011年度まで。

 文部科学省が公募、審査した「橋渡し研究支援推進プログラム」には、腎臓がん、前立腺がん、ぼうこうがん、乳がんを対象にγδ型T 細胞を標的としたがん免疫療法開発のための治験、臨床試験の実施(活用拠点・京都大学医学部付属病院・探索医療センター、研究代表者・湊長博・京都大学教授)など13件が採択された。13件のうちγδ型T 細胞を標的としたがん免疫療法開発など4件は、日本の医薬品・医療機器開発のネックと指摘されている承認審査についても、治験相談、審査を優先的に受けられる先端医療開発特区(スーパー特区)となった。実施期間は3-5年間。

 基礎研究成果を臨床医療につなげる橋渡し研究の遅れに対応するため、文部科学省、経済産業省・NEDOは2007年度からそれぞれ「橋渡し研究支援推進プログラム」と「基礎研究から臨床研究への橋渡し促進技術開発」を始めた。さらに08年には、革新的技術の開発を阻害している要因を取り除くために内閣府、文部科学、厚生労働、経済産業の4府省が連携して研究資金の特例や規制を担当する部局との並行協議などを試行的に行う「先端医療開発特区(スーパー特区)」が創設された。

 今回の「橋渡し研究推進合同事業」は、橋渡し研究のより一層の加速を目的として文部科学省と経済産業省・NEDOが一体となって取り組む、と説明されている。

 橋渡し研究については、研究に必要な人材育成など根本的な議論が欠落したままの現状では成果は期待できない、という厳しい意見も現場の医学・医療関係者の中から聞かれる。

関連記事

ページトップへ