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SPEEDIは元々頼りにならないのか?

掲載日:2012年1月19日

新聞各紙によると、18日開かれた原子力安全委員会の作業部会が、原子力事故時の避難などに関する防災指針の見直し案をまとめた。記事で一様に強調されていたのが緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム「SPEEDI」は、これからは補助手段あるいは参考情報にとどめるという方針変更である。

「作業部会の主査を務める本間俊充・日本原子力研究開発機構安全研究センター長は、『緊急時にSPEEDIは信頼性に欠ける。予測システムで何かができるというのは幻想だった』と指摘した」(毎日新聞19日朝刊)が、最も分かりやすい記述だろう。原子力安全委員会のホームページに載っている原子力安全委員会原子力施設等防災専門部会防災指針検討ワーキンググループ(第11回会合)議事次第を読んでも、SPEEDIについての議論のやりとりはよく分からない。作業部会は公開だったから、部会の中でこのような発言があったのを、毎日新聞の記者が聞き逃さなかったということだろう。

ただ、原子力安全委員会のホームページから、この方針変更に関して異論があったことは伺える。「本来、今般の教訓を踏まえても、予測的手法の信頼性向上に努めることが大前提であり、その上で万が一予測的手法による対応ができない懸念への対応として、計測可能な手法も併せて判断基準に用いることが、住民の無用な被ばくを防ぐために目指すべき方向ではないか」という意見が作業部会に提出された資料 PDFとして掲載されているからだ。一刻も争うような緊急事態においては、計測値を待たず予測値で対応せざるを得ない場合がある、という主張だろう。

意見の主は、全国原子力発電所所在市町村協議会だ。東京新聞19日朝刊の記事は、同協議会の嶽勤治事務局長が、SPEEDI活用を探らず、実測値で避難を決定することに対し「結果的に被ばくを許容することになる」という意見を述べたことを伝えている。

SPEEDIの機能について、あらためて専門家が技術的な検討を加えることに異論を挟む人はいないと思われる。しかし、SPEEDIが肝心なときに活用されなかったことは、まさに今回の事故調査の大きな対象になっているテーマである。原子力安全委員会自体、この点について詳細な説明を公にしていない。

作業部会が今の時点で「元々頼りにならないシステム」と言わんばかりの結論を出してしまうことに違和感を持つのは、全国原子力発電所所在市町村協議会のメンバーだけだろうか。

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