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AI活用で大腸がんを徹底チェック 国立がん研究センターとNEC

掲載日:2017年7月11日

人工知能(AI)を活用して大腸がんやその前がん病変のポリープを見逃さないよう徹底チェックする診断システムを開発した、と国立がん研究センターと同センター中央病院、日本電気(NEC、本社・東京都港区)の研究グループが10日発表した。AIがディープラーニング(深層学習)で得た情報を基に病変を検知、医師に伝えて医師の病変発見をより確実にする仕組み。研究グループは、大腸がんの予防や早期発見に大きく寄与できる、と期待している。研究成果は10月に開かれる日本内視鏡学会総会で学会発表される予定。

研究グループは、まず大腸がんやポリープの患者の大腸の病変画像約5,000例をディープラーニングの手法でAIに学習させた。開発された新診断システムは、医師による内視鏡検査時の画像に異常病変があるとこのAIが検知、警告音を鳴しながら医師に病変の場所を知らせる仕組み。このシステムを用いて約5,000例の新たな大腸の内視鏡画像を評価したところ、早期がんやポリープを98%という高確率で発見できたという。

ポリープを内視鏡検査時に見つけて切除することにより大腸がんへの進行を防止できることはよく知られている。しかし研究グループによると、ポリープがごく小さい場合や、平らに近く肉眼では認識しにくい形状だと医師が見逃してしまうケースもあった。米国の研究では(がん化しやすい)腺腫性のポリープを内視鏡で切除すると大腸がんになる率を76%~90%防ぎ、死亡率を53%減らせたという 。また別の研究報告では、大腸内視鏡検査を受けていたにもかかわらず、後に大腸がんになったケースが約6%あり、その58%は内視鏡検査時の病変見逃しだったという。

研究グループは、今後肉眼では見つけられない形状の病変も検出できるようシステムの精度をより上げて実用化に向けた臨床試験を実施する予定だ。一連の研究は科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業(CREST)や日本医療研究開発機構(AMED)革新的がん医療実用化研究事業などの研究支援の一環として行われた。

図 AIを活用した大腸がん徹底チェックシステムの概念図(提供・国立がん研究センター、NECなど研究グループ)
図 AIを活用した大腸がん徹底チェックシステムの概念図(提供・国立がん研究センター、NECなど研究グループ)
写真 ポリープ検出例。肉眼による内視鏡検査ではごく小さいものや平坦な病変は見逃されるケースもあるという(提供・国立がん研究センター、NECなど研究グループ)
写真 ポリープ検出例。肉眼による内視鏡検査ではごく小さいものや平坦な病変は見逃されるケースもあるという(提供・国立がん研究センター、NECなど研究グループ)
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