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西表の水深30~50mに大サンゴ群集発見

掲載日:2014年5月30日

熱帯のサンゴ群集は奥が深い。人が知っているのはほんのわずかかもしれない。日本の西南端に近い西表(いりおもて)・石垣島沿岸の水深30~50mに大規模なサンゴ群集9カ所を琉球大学熱帯生物圏研究センターの成瀬貫(なるせ とおる)助教らが見つけた。サンゴ礁生態系は光合成が盛んな浅い海だけでないことを示す発見で、琉球列島の多様な生態系を保全するためにも、こうした知られざるサンゴ群集生態系の基礎的な調査が必要になりそうだ。5月25日に琉球大学で開かれた沖縄生物学会で発表した。

現在、保全の対象になっているサンゴ礁はほとんどが10mより浅い。これに対して、光の弱い場所を好むサンゴ類も存在し、深さ30mより深い海底で発達するサンゴ礁群集を中深度サンゴ群集と呼ぶ。中深度サンゴ群集は、琉球列島では沖縄本島の恩納村沖や久米島の沖の30mより深い海底から群集が見つかっているが、その深さの調査が非常に難しい。

成瀬さんらは2012年から、西表・石垣島の周辺で本格的な中深度サンゴ群集調査を実施した。潜水で直接観察する方法と、水中カメラを船からつり下げる水中撮影を併用した。その結果、西表島周辺で大規模な群集8カ所と多くの群集、石垣島南西部の名蔵(なぐら)湾で大規模な群集2カ所(このうち1カ所は大量死していた)が見つかった。

今回発見された最大のサンゴ群集は、西表島西部の船浮(ふなうき)湾で、水深30~55mに長さ540m、幅は少なくとも150mにわたって広がる。主な構成種はリュウモンサンゴで、複数種が混生している。成瀬さんは「水深40mの薄暗い海底に、直径1.5mほどのリュウモンサンゴが見渡す限り広がっている光景は壮観だった」と感動を伝える。中深度サンゴ群集も形態はさまざまだ。同じ船浮湾では、急斜面に幅約100mにわたってサンゴ類が水深20mから60mまで生息する縦長の群集も見つかった。

石垣島の名蔵湾の水深25~35mにあったセンベイサンゴ属の1種が広がる群集はこの調査で唯一、大量死のサンゴが見られた。比較的最近死亡した群集と考えられるが、原因は不明という。

研究グループは「中深度サンゴ群集が生態系でどのような役割を果たしているか、わかっていないことばかりだが、今回、その分布の一端は明らかになった。人々が知らないうちに、中深度サンゴ礁生態系にダメージを与えてしまうのを防ぐためにも、基礎的な調査を継続し、社会と情報を共有していくことが必要だ」と提言している。

西表島船浮湾のリュウモンサンゴ群集(深さ30m)
写真1. 西表島船浮湾のリュウモンサンゴ群集(深さ30m)

船浮湾の斜面群集
写真2. 船浮湾の斜面群集。
深さ48mから上を見上げると、センベイサンゴ類が斜面を覆っている。

石垣島の名蔵湾の深さ30mで大量死していたサンゴ礁
写真3. 石垣島の名蔵湾の深さ30mで大量死していたサンゴ礁
(いずれも提供:成瀬貫琉球大学助教)
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