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足腰が丈夫な人は震災ストレスに強い

掲載日:2014年5月7日

大震災後のストレスにどう備えたらよいのか。普段から足腰を丈夫にしておくことが望ましいという調査結果が報告された。震災発生前の身体状態や生活習慣が震災後の精神的ストレスに関連することを、東北大学大学院医工学研究科の門間陽樹(もんま はるき)助教と永富良一(ながとみ りょういち)教授らが明らかにした。仙台市内の勤労者を対象に、2011年3月11日の東日本大震災発生以前から行っていた健康調査のデータを解析して確かめた。4月23日付の米オンライン科学誌プロスワンに発表した。

大災害は広範囲に多くの人々に打撃を与える。メンタルヘルスに影響する因子を突き止めておくことは重要である。災害のメンタルヘルス研究はこれまで、災害発生後に調査が行われているのに対し、今回の研究は、災害発生前の状態が災害後の精神的なストレスに影響することを示した。当たり前のようだが、日常の身体機能の維持・向上が災害時のメンタルヘルス悪化の一次予防策にもなりうることを実証した点が新しい。

研究グループは、2010年8月と2011年8月に健康診断を受けた仙台市の勤労者522人を対象に、東日本大震災後の精神的ストレスと震災前の状態との関連について解析した。震災前の状態は、生活習慣(喫煙、飲酒、身体活動、食習慣、睡眠時間、歯磨き習慣)や既往歴(糖尿病、高血圧、脂質異常症)、両脚の瞬間的な出力を示す脚伸展パワーをみた。震災後の精神的ストレスは、心的外傷後ストレス障害(PTSD)症状の国際指標である改訂版出来事インパクト尺度(IES-R)についてアンケートを実施した。

解析の結果、震災前に脚伸展パワーが高い男性は、震災後のPTSD症状で評価した精神的ストレスの程度が低いという関連がみられた。また、震災前に毎日酒を飲んでいたり、うつ状態だったりした男性は震災後の精神的ストレスの程度が高い傾向があった。女性では、震災前にうつ状態か、高血圧の場合に、震災後の精神的ストレスの程度が高いという関連が認められた

永富教授は「大震災以前の健康データを利用して、震災前の個人の健康状態が震災後の精神的ストレスに影響を与えることを明らかにした。大震災のストレスを予防するためにも、生活習慣を改善して日常的に健康的な生活を送り、特に男性では適度なスポーツやランニング、坂道・階段の上り下りあるいはダンスなどで足腰を丈夫にしておくことが重要だ」と提言している。

東日本大震災前の身体機能や生活習慣が、震災後の心的外傷後ストレス障害(PTSD)に及ぼす影響
図1. 東日本大震災前の身体機能や生活習慣が、震災後の心的外傷後ストレス障害(PTSD)に及ぼす影響

これまでの先行研究と比較した今回の研究の特長、概略
図2. これまでの先行研究と比較した今回の研究の特長、概略
(いずれも提供:東北大学)
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