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2050年に世界の原子力発電1.5-3.8倍に

2008.10.17

 原子力発電は2050年には現在の1.5-3.8倍に増加するとの見通しを経済協力開発機構(OECD)の原子力機関(NEA)が公表した。

 NEAの『原子力エネルギーアウトルック2008』は、原子力発電がほとんど炭素を放出しないことや、化石燃料に比べ健康影響が無視できるくらい小さいことなどの長所を持つことを挙げ、今後のエネルギー源として大きく貢献すると評価している。

 ウラン資源は、再処理を行わなくても、少なくとも2050年までは増大する全世界の原子力発電の燃料として十分な量があり、さらに再処理と高速増殖炉を導入すればウランからの取り出すエネルギーを60倍に増やすことができることから、ウラン資源を何千年も保つことが可能になるとしている。

 また、今後は輸送分野に燃料を供給するため、原子力の熱を利用して水素を製造する研究開発が重要になるとの見通しを明らかにした。

 一方、高レベル放射性廃棄物の処分計画の遅れや失敗が、原子力のイメージ悪化をもたらしている現実を挙げ、政府と原子力産業界が安全な処分を実現させるため、一丸となって取り組むことを求めている。また、核拡散やテロリストによる放射性物質の使用を防ぐため、国際的な取り組みの重要性も指摘している。

 将来のエネルギー源とみなされている核融合については、まだ実験段階で今世紀の後半でも商業発電として利用される可能性は低い、と評価している。

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