日経新聞28日朝刊の企業総合面に、ウラン高騰が主因で、東京電力が2007〜09年度の設備投資額を600億円増やし、1兆9,200億円にする、という記事が載っている。
「昨春公表した06~08年度計画(1兆8,600億円)に比べ600億円、3%の上積み」で、「国際的なウラン価格の高騰で、設備投資に繰り入れる『原子燃料』の調達費が膨らむのが主因」という。
国際的なウラン価格が高騰しているのは、原子力関係者には周知の事実のようだが、一般にはあまり知られていないのではないかと思われる。当サイトに連載したインタビュー「原子力ルネッサンス」の中で、日本原子力研究開発機構・次世代原子力システム研究開発部門長の向和夫氏は、次のように語っている。
「ウランのスポット価格は、2003年ごろ1ポンド10ドル程度だったのが、昨年暮れには、72ドルまで高騰している。高騰の理由は、いろいろと議論されているが、根底には、長期的にウラン資源を安定して確保していくことに対する不安感にあると考える」(詳しくはこちら)
原子力発電は、米国でこの30年ほど新規立地が全くないことに典型的に現れているように、急激に伸びているわけではない。燃料の原料であるウランの直接的な需要が増えているわけではないのに、ウランが急騰している背景には、中国が原子力発電の急速な導入を目指していることがあるとの見方が出ている。中国は、日本と同様、自国に十分なウラン資源を持たないためだ。
ウラン市場でも、中国が台風の目になっているということだろうか。(日経新聞の引用は東京版から)