「こんなにすごい生き物がいたんだ」と感じてほしい――。そうした思いから、東京都立川市の株式会社ON-ART(オンアート)の金丸賀也(かずや)社長は、見た目も動きもリアルな「恐竜型メカニカルスーツ」のライブイベントを各地で開いている。
金丸さんは東京芸術大学の出身で、博物館の展示物制作に携わっていたとき、硬い強化プラスチックを用いることに違和感があった。試行錯誤する中で、軟らかい樹脂に色を塗り重ねることで動物の皮膚の透明感や、皮膚の下の脂肪や血液の質感を再現できると気づいた。
2005年、人が中に入って操縦する恐竜型メカニカルスーツの制作を始めた。現在はティラノサウルスやステゴサウルスなど37体。最新の研究を参考にしながら作っており、例えばトリケラトプスは、化石の知見をもとに棘(とげ)や鱗(うろこ)を再現した。ティラノサウルスも、羽毛の有無で複数のスーツがある。
研究が進まない部分や学説が定まらないところなど「どうしても想像の部分はある」というが、生物として必然性のある姿にするのが基本だ。金丸社長は「映画に出てくるようなモンスターではなく、『生物』として見てもらえるように製作している」と話している。


