ゆったりと泳ぐアオウミガメ。主に海藻や海草を食べるが、地域によってはクラゲも食べるという。東京大学などの研究グループが、動物に小さな記録計を装着する方法で、草食性の八重山諸島(沖縄)と、クラゲも食べる三陸沿岸(岩手)の亜成体(大人の手前のもの)を調べ、食生活の謎に迫った。
すると、三陸の方が長時間活動し食べる頻度が低い一方、栄養状態が良いことが分かった。クラゲは体がほとんど水分で栄養価が低そうなのに、実に意外だ。佐藤克文教授(行動生態学)は「冬は伊豆七島付近にいて、夏にわざわざ三陸へ北上する。クラゲが魅力的な餌なのだろう。驚いた。熱帯や亜熱帯の産卵場などのカメがよく研究されるが、産卵期以外の大半の時間が本来の姿を表しているはずだ」と語る。
研究グループは東京大学、NPO法人日本ウミガメ協議会、名城大学で構成。成果は海洋生物学の国際誌「マリンバイオロジー」に7月23日に掲載され、東京大学大気海洋研究所が8月4日に発表した。
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- 東京大学大気海洋研究所プレスリリース「クラゲ類を捕食するアオウミガメは、草食性の個体よりも栄養状態が良好」